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りんご

 

随分昔に噂になったえらく不健康なダイエット法もありました、リンゴですけど。スチュワーデス御用達とかいう嘘だか本当だか分からない情報に翻弄されて試した人もいるかも知れません。あれで痩せなかったら多分どっかおかしいんだと思います。

 

思えば、リンゴというのは凄く身近な存在なんです。

 

信じ抜く愛の尊さを描いた物語なのに、頭にリンゴを乗せるという一見コミカルな情景の方が有名なお話もあります。しりとりではリンゴ、ゴリラ、ラッパと続くのが鉄則ですし、ハロー、アップル、サンキューは幼少期から馴染み深い英単語です。

病人がいればリンゴを用意してあげたりしますし、お弁当ではうさちゃんリンゴが大人気なのです。リンゴを変色させないためには薄めの塩水にさらすのが効果的ですが、味は最悪なので気を付けて下さい。つまり、味か見た目かという選択になります。まあ僕は見た目を優先しますけど。だって、あれじゃないですか、変色したリンゴって何だか腐ってるみたいじゃないですか。バナナと同じくらい食べたくない。

僕が使ってるパソコンもアップル社のマッキントッシュです。ちなみに、マッキントッシュというのはリンゴの種類であります。雑学ゲットですね。

歌舞伎町の女王こと椎名林檎さんは凄い人気歌手ですし結婚しました。おまけに自分のことを果実に置き換えた童謡まがいの変な歌まで作ってヒットさせました。いや僕はあの歌好きなんですけど。

 

美味しくて、少量でも満腹感を得られる北国生まれのリンゴちゃん。きっと人を惹き付けるあの赤い色は北国生まれの証です。寒さで赤らむ頬、恥ずかしくて頬も赤らみます。食べてお腹も膨らみます。いや、別に上手いこと言いたかったとか、そういうわけじゃないんです。うん、ホントに。

 

僕も学校でまるかじりしてたくらいリンゴは大好きです。別にリンゴだけしか食べてなかったとかそういうのではないんですけど、何故か友人間で「田中はダイエットをしているんだ」という根も葉もない噂が立ち上っていたりもしてました。その噂の存在には、後輩の子がカラアゲ弁当を食べてる僕に向かって「田中先輩ダイエットやめたんですか?」と言ってきたことで気付いたんですけど。

そんなわけないじゃん。なんだ、リンゴまるかじりはダイエットの証か。皆で飯食いに行ったりしたのに、見えないふりか。「あーあ。今日も我慢出来なくて食べちゃった。うーん見えないふり☆」みたいな感じか。いや、そもそもダイエットなんかしてないから。

 

ブリックパックのジュースと言えば、リンゴジュースかイチゴオレ。それしか思い付かないくらいリンゴジュースが大好きです。

 

 

けど、そんな僕にもリンゴジュースが飲めなかった時期がありました。

 

 

結構小さい頃なんですけど、母親の一言が僕をリンゴジュース飲めない症候群に落とし入れたんです。ほら、リンゴジュースってなんか色が透明なやつと、いかにも絞りましたって感じの黄色い濁ったやつがあるじゃないですか。僕、あの透明のリンゴジュースを溺愛してまして、そればっか飲んでたんですけど。ある時、僕がグラスに入れたリンゴジュースを見て母親が「おじいちゃんのオシッコみたい」とか言いやがったんですよ。何故かいつもみたいに「はははー」と笑うことが出来なくて呆然と立ち尽くす僕。

 

それは要するに、ウンコ食ってる時にカレーの話されるくらいの勢いで食欲、というか飲欲(淫欲にあらず)が失せるものです。おじいちゃんのおしっこ、おじいちゃんの、小便。うわぁ、これはヤバい。ビタミン流れ出まくってるじゃないですか。検尿用のソフトケース越しに伝わる、あの微妙なぬくもり。僕が想像力が逞しいせいか、関連する映像や感覚が色々と思い起こされて、それからしばらく透明のリンゴジュースが飲めなくなりました。絶対、違うのは、分かっているのに。

 

 

うちの母親はこういう興醒めなことを平気で言うタイプの人間でした。

 

カリントウを乾燥した犬のウンチとか言ってみたり。

僕の頭の中では、テリを出すために乾くと無色透明になる木工用ボンドで犬の糞を包み込む様子や、モザイクを掛けて欲しいくらいに生々しい乾燥する前の映像が浮かび上がりました。犬の散歩中のビニール越しのあの感触。うわあ。もう食えないよう。

 

畑では土にウンコが使われてるとか言ってみたり。

いや、本当なのは分かるんです。肥料として使ってるんでしょ、分かるんです。でもその「肥料」のもう一言が欲しかった。僕はなんとなく肥だめにニンジンとかダイコンとかをぐしょっと射し込んだ映像だけが浮かび上がりました。うわあ、げろー。もう食べたくないよう。でも野菜は好きだし全部食べられなくなっちゃうのは困るので、洗ってるから平気、うん、洗ってるから。凄い洗ってるから平気、とか思ったりしてなんとかしのいでました。でも何故かぬか漬けだけは抵抗感がありました。食べてましたけど。

 

凄い好きだった女の子のことを亀に似てるとか言ってみたり。

それから何故かその子と話す時には脳裏に正面から見た亀の顔がちらつくようになって、いきなり気持ち悪くなりました。お前、なんだ、その変な橙色の線は。うわあ。僕の純情が簡単に。

 

他にもホント色々言われました。イクラは目玉に似てるとか、牛乳が腐ったのがヨーグルトだとか、少年アシベのゴマちゃんに夢中な僕に毛が生え変わる時のアザラシの写真を見せたり。夢を見させてくれないんです。

 

 

一見お茶目にも見えますが、よくよく考えてみるとうちの母親って悪魔ですね。

頭にリンゴ置いて、顔を射抜かれちまえ。

 

 

 

ちなみにウンコとカレーは間違えていないと思うんです。

 

 

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